セラミック治療後に、歯が痛む・しみるなどの症状が出ることがあるのはご存じですか。治療直後の場合は、神経が過敏になっていることが主な原因ですが、治療後しばらく経ってからの場合はさまざまな原因が考えられます。
今回は、セラミック治療後の歯が痛む・しみるといった症状の原因と対処法について解説します。
セラミックの治療後の歯が痛む・しみることがある?
セラミックの治療直後、または治療後しばらくしてから、歯が痛む・しみるなどの症状に悩む方も少なくありません。
治療直後の場合は、神経が過敏になっていることが原因だと考えられます。歯を削るときに神経が刺激されるため、麻酔が切れたあとも歯が痛む・しみるといった症状がみられることがあるのです。軽度の虫歯の場合は、比較的短い時間でおさまります。
しかし、虫歯が深くまで進行していた場合は、神経への影響も大きくなり、痛みやしみる症状が長く続くことがあるでしょう。
治療後しばらくして、セラミックを装着した歯に痛みやしみるなどの症状が出た場合は、さまざまな原因が考えられます。セラミッククラウン(被せ物)・セラミックインレー(詰め物)が痛む・しみるときに考えられる原因をご紹介しますので、参考にしてください。
セラミッククラウン(被せ物)が痛む・しみる
セラミッククラウンが(被せ物)が痛む・しみる場合、セラミックそのものが原因の可能性や、日常における癖などが原因の可能性が考えられます。詳しく解説します。
セラミッククラウンが歯に合っていない
製作工程で何らかの不具合が生じると、セラミッククラウンがうまく合いません。被せたセラミックが歯の形状に合っていないと、すき間ができ、汚れや細菌が侵入して歯がしみる可能性があります。
神経に直接刺激が加わるので、痛む・しみるなどの症状が強く出ることもあるでしょう。
噛み合わせが合っていない
噛み合わせが合っていない場合、セラミッククラウンの部分のみに負担が集中します。ダメージが蓄積されることで、歯に痛みやしみる症状が出る場合があるでしょう。
セラミックの噛み合わせが悪くなる原因のひとつに、天然の歯よりも劣化しにくい素材ということが挙げられます。
歯や噛み合わせは加齢とともに変化します。セラミックは耐久性が高いため、適切に手入れをしていれば、大きく削れることはありません。そのため、ほかの歯が消耗しているにもかかわらず、セラミックの歯のみ装着時の形を維持し、高さに差が出て噛み合わせが変化することになります。
セラミッククラウンは噛み合わせを考慮して製作しますが、装着したあとに噛み合わせが悪くなることもあります。
歯ぎしりや食いしばりがある
歯ぎしりや食いしばりは無意識のうちに起こる強い噛みしめのことで、歯や顎にかかる力は250〜300㎏程度といわれています。特に、治療直後は神経が過敏になっていることもあり、小さい刺激でも痛む・しみるといった症状を感じやすいです。
セラミッククラウンは衝撃に弱い被せ物です。歯ぎしりや食いしばり癖がある場合、セラミッククラウンが破損しやすくなります。破損すると神経が露出する可能性があるため、刺激によって痛みなどの症状を感じることもあるでしょう。
二次虫歯になっている
二次虫歯とは、虫歯治療後に再び虫歯になることです。セラミッククラウンを装着した歯が虫歯になると、痛みを感じる場合があります。
セラミックは人工物のため、虫歯になることはありません。また、耐久性が高いため、二次虫歯になりにくい素材といわれています。
しかし、セラミックを装着したからといって絶対に虫歯にならないというわけではありません。虫歯の原因は主に、治療後に歯磨きや歯科医院でのメンテナンスを怠っていることが考えられます。天然の歯との間にすき間ができにくいといわれているセラミックですが、ケアを怠っていると、わずかなすき間から細菌が侵入します。神経がない歯の場合は、虫歯になってもしみるなどの自覚症状はありませんが、神経の残っている歯が虫歯になると、強い痛みを感じるでしょう。
歯根が破損している
ケガや事故によって歯根が破損する場合があります、これを「歯根破折(しこんはせつ)」といいます。特に、前歯にセラミッククラウンを装着した場合は、強い衝撃によって歯根破折が起こることが多いでしょう。
神経を抜いている場合は痛みを感じることはありませんが、神経が残っている歯の場合、歯根がひび割れると痛みを感じる場合があります。破損した部分から細菌が侵入すると、炎症を起こして歯肉が腫れたり、歯がグラグラする症状が出ます。
歯根破折は、最悪の場合、抜歯が必要になることもあります。歯根破折は、歯周病や虫歯に次いで、日本人の抜歯原因の3位を占める症状なので注意しましょう。
セラミックインレー(詰め物)が痛む・しみる
セラミックインレー(詰め物)が痛む・しみる原因には、セラミッククラウンと同じものもあれば、セラミックインレー特有の原因もあります。詳しく解説します。
セラミックインレーが破損している
セラミックは、衝撃に弱い素材です。歯ぎしりや食いしばり、固い食べ物を食べたときなど、強い衝撃が加わった際にセラミックインレーが欠けたり割れたりすることがあります。
歯を削った量が大きい場合、セラミックインレーが破損すると、神経が露出する可能性があるため、しみやすくなります。特に、熱いものや冷たいものなど、刺激物を摂取したときに強い痛みを感じることがあるでしょう。
知覚過敏になっている
知覚過敏とは、虫歯や神経の炎症がないにも関わらず、歯に痛みやしみるといった症状がみられる状態のことです。
歯ぎしりや食いしばり、歯周病などによって、セラミックインレーを装着した歯が知覚過敏になることがあります。
歯ぎしりや食いしばりは強力な力で歯をこすり合わせることから、歯が削れたり欠けたりする場合があります。歯が消耗すると神経までの距離が近くなるため、熱いものや冷たいものがしみやすくなるでしょう。
また、歯周病によって歯茎が下がると、象牙質が露出することがあります。象牙質とは、歯の表面にあるエナメル質の下にある組織のことです。象牙質の露出は神経への刺激が強くなるため、少しの刺激で歯がしみることがあるでしょう。
二次虫歯になっている
セラミッククラウン同様、セラミックインレーの装着が不十分な場合、すき間から細菌が侵入して二次虫歯になることがあります。また、適切に装着されている場合でも、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせの影響によりセラミックインレーが破損すると、断面に汚れが溜まりやすいです。
汚れが溜まって二次虫歯になると、神経が刺激されて痛む・しみるといった症状が現れる可能性があります。
噛み合わせが合っていない
セラミッククラウンよりも程度は低いですが、セラミックインレーも噛み合わせに影響することがあります。
セラミックインレーによって噛み合わせが変化した場合、今までとは違う場所に圧力がかかるため、痛む・しみるなどの症状が発生することがあるのです。
痛みやしみる症状を悪化させないための対策
歯の痛みやしみる症状を悪化させないためには、歯にかかる力や刺激を避けることが重要です。日頃から予防していれば、症状の悪化を防ぐことができます。
刺激を避ける
歯が痛む・しみるなどの症状がある場合は、悪化させないために刺激を避けましょう。固い食べ物を避け、熱いものや冷たいものの摂取も控えることをおすすめします。
歯がしみると歯磨きをしたくないと思うかもしれませんが、細菌の増殖を防ぐためには口の中を清潔に保つことが重要です。歯磨きの際はやさしく、かつ丁寧に磨きましょう。
噛み合わせを調整する
噛み合わせの不良によってセラミックの歯が痛む・しみるなどの症状が現れている場合は、噛み合わせの治療が必要です。
しかし、噛み合わせの悪さは自分では気づきにくいです。セラミックの治療後、歯が痛む・しみるなどの症状があれば、歯科医師に相談して、噛み合わせの検査をしてもらいましょう。
虫歯を治療する
噛み合わせに問題がなく、治療後しばらくしてから痛みやしみるなどの症状が現れた場合は、二次虫歯の可能性があります。
治療直後なら二次虫歯は考えにくいですが、治療後しばらく経過している場合は、不適切なセラミックの装着、または不十分なケアによって虫歯が再発している可能性が考えられます。歯科医院を受診して、原因が二次虫歯であった場合は、治療することで症状を抑えることができるでしょう。
歯周病を治療する
歯茎が下がったことにより神経が露出して歯がしみる場合は、歯周病治療が効果的です。歯周病治療でセラミック周辺の歯茎の状態が改善されれば、しみる症状を抑えられる可能性があります。
歯周病治療には歯石取りのクリーニングも含まれているので、定期的にクリーニングに通うことで歯周病を予防できます。
ナイトガードを作る
歯ぎしりや食いしばりが原因で痛む・しみる場合は、ナイトガードの装着が有効です。
ナイトガードとは、就寝中につけるマウスピースのことです。ナイトガードはクッションの役割を果たすため、歯や顎にかかる力を吸収してくれます。
歯ぎしりや食いしばりは、セラミックだけでなく歯茎や顎関節にも影響を与えます。放置すると、歯周病の悪化や顎関節症など、さまざまな悪影響を及ぼすので、歯ぎしりや食いしばり癖がある方はナイトガードを装着するとよいでしょう。
神経を除去する
上記の対策で、歯の痛みやしみる症状がおさまらない場合は、神経を除去することも考えなければなりません。
神経を失うと、虫歯の進行に気づきにくくなります。また、栄養が行き届かないため、脆く欠けやすい歯になってしまい、寿命を縮めることにつながります。歯の寿命を長く保つためには、可能な限り神経を残すことが重要です。
しかし、耐えられない痛みやしみる症状があり、改善できる治療法がない場合は、神経を抜くことが最善の場合もあります。
安心してセラミック治療を受けるためには歯科医院選びが重要!
セラミックは、銀歯やレジンよりも、より精密に作られます。そのため、セラミックの仕上がりは、製作する歯科医師や歯科技工士のスキルに左右される部分が大きいです。
セラミック治療でクリニックを選ぶときに注意すべき点は、以下のとおりです。
- 最新の設備が整っているか
- セラミック治療に特化した歯科医師が在籍しているか
- セラミック治療の実績が豊富か
- 保証などアフターケアが充実しているか
最新の技術や機器を使用している歯科医院では、より正確な治療を期待できます。セラミック治療に特化した歯科医師がいると、安心して治療を任せられるでしょう。
なかには実績を公表している歯科医院もあります。いずれもホームページで確認できることが多いので、事前にチェックしましょう。
また、セラミックは保証がついていることがほとんどです。年数や条件など、保証内容は歯科医院によって異なるので、治療前に確認しておくことが大切です。
まとめ
セラミック治療直後は神経が過敏になっているため、痛みやしみるといった症状がみられることがあります。市販の痛み止めで様子を見ても構いませんが、しばらく続く場合は歯科医師に相談しましょう。また、治療後しばらく経過してから症状が発生した場合には、さまざまな原因が考えられるので、早めに歯科医院を受診してください。
セラミックは日頃から丁寧に歯磨きを行い、定期的にクリーニングに通っていれば、10〜20年以上と非常に長持ちする人工歯です。歯ぎしりや食いしばり癖がある方は、ナイトガードを使用するなど、日頃から対策することが重要です。
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