歯の裏側に矯正装置を取り付ける裏側矯正は、見た目が気になる方だけでなく、接客業や人前に立つ機会の多い職業の方にも向いています。また、表側矯正よりも歯を引っ込めることを得意としているため、出っ歯や受け口の方にも向いている治療といえます。
しかし、裏側矯正は表側矯正よりも高い専門性が必要となるため、1.5倍ほど値段が高い傾向にあるのが事実です。
今回は、裏側矯正にかかる値段と高額な理由について解説します。裏側矯正のメリット・デメリットについても解説しているため、裏側矯正を検討している方はぜひ参考にしてください。
裏側矯正とは
裏側矯正とは、ワイヤー矯正のひとつです。ワイヤー矯正といえば、歯の表側にブラケットを取り付け、ブラケットにワイヤーを通して歯並びを治す表側矯正のイメージがあると思います。
表側矯正は、歯に力がかかりやすいため、比較的治療期間が短くなるメリットがあるものの、矯正装置が目立ちやすいのがデメリットです。また、歯の表面にデコボコした矯正装置を接着するため、唇がひっかかりやすく、審美性に欠けるといえるでしょう。
「ワイヤー矯正を受けたいけれど見た目が気になる」という方には、裏側矯正が向いています。
裏側矯正は、歯の裏側に矯正装置を取り付けるため、大きな口を開けても目立つことは少ないでしょう。また、裏側矯正は表側矯正よりもブラケット間の距離が短くなるため、歯により強い力がかかりやすいといえます。そのため、裏側矯正は表側矯正よりも効率的に歯を内側に引っ込められるため、出っ歯や受け口の方に向いている治療といえるでしょう。
裏側矯正のメリット・デメリット
次に、裏側矯正のメリット・デメリットを解説します。
裏側矯正のメリット
裏側矯正のメリットは、以下の4点です。
①目立たない
裏側矯正の最大のメリットは、矯正治療でありながら目立ちにくいことです。
ワイヤー矯正と聞くと、金属部分が目立って見た目がよくないというネガティブなイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、歯の裏側に矯正装置を取り付ける裏側矯正は、口を大きく開けたときや笑ったときでも目立つことはありません。そのため、矯正治療中の見た目が気になる方だけでなく、接客業や人前に立つ機会の多い職業の方にも向いているといえるでしょう。
②前歯を引っ込めやすい
矯正治療で前歯をひっこめたい場合、抜歯してスペースを作り、歯を後方に引っ込める治療を行います。このとき、奥歯を支えにして前歯を後方に引っ張りますが、表側矯正だと支えにしている奥歯が逆に前に引っ張られてしまい、うまく治療がすすまないことがあります。
一方、裏側矯正は、表側矯正よりもブラケット間の距離が短いことで歯にかかる力が強くなるため、スムーズに歯を後方に引っ込めることが可能です。裏側矯正は、表側矯正よりも効率的に前歯を引っ込められるため、出っ歯や受け口の方に向いている治療といえるでしょう。
③虫歯になりにくい
矯正治療中に虫歯になる原因は、矯正装置のまわりに汚れが溜まりやすいことです。歯の裏側は常に唾液がある状態のため、食べかすが洗い流されやすいことや殺菌効果や再石灰化作用があったりすることで、虫歯になりにくいといえます。
ただし、いくら虫歯になりにくいからといって、歯磨きをしなくてもよいわけではありません。ワイヤー矯正中は、矯正装置のまわりだけでなく、歯と歯の間も磨きにくくなります。そのため、食後はなるべく早く歯を磨き、虫歯予防のためにできる限り磨き残しがないようにしましょう。
④舌癖を治せる
歯並びが悪くなる原因のひとつに「舌癖」があげられます。舌癖とは、舌の位置が低い、舌で前歯を押すなど、悪い位置に舌がある癖のことです。
本来、舌は上の前歯のうしろあたりのポコッとした部分(タンスポット)にありますが、舌で前歯を押すなどの舌癖があると、出っ歯やすきっ歯になることがあります。舌の力は意外と強く、常に舌で歯を押し続けることで、歯が移動してしまうのです。そのため、矯正治療で歯並びを整えても、舌癖が改善しなければまた歯並びが悪くなってしまう可能性があります。
裏側矯正は、歯の裏側に矯正装置を取り付けるため、矯正装置が舌の邪魔となり、舌癖を防止する効果が期待できるでしょう。
裏側矯正のデメリット
裏側矯正のデメリットは、以下の4点です。
①矯正装置に違和感がある
裏側矯正は、歯の裏側に矯正装置を取り付けるため、異物感や違和感がでやすいといえます。特に、矯正装置を取り付けた直後は違和感が生じやすく、舌を傷つけることや口内炎ができやすいことがあるでしょう。
しかし、個人差はありますが、1~2週間もすれば矯正装置に慣れることがほとんどです。矯正装置に慣れるまでは様子見し、違和感や痛みが強い場合は歯科医師に相談するとよいでしょう。
②発音がしにくい
矯正装置を歯の裏側に取り付ける裏側矯正は、目立ちにくいのがメリットですが、矯正装置が舌にあたりやすいため、矯正装置に慣れるまでは発音がしにくいといえます。特に、歯に舌をあてて発音するサ・タ・ラ行は、発音しにくい傾向にあるため注意が必要です。
矯正装置に慣れると発音のしにくさも改善されるため、様子をみるのがよいでしょう。
③食事しにくい
表側矯正も裏側矯正も歯の表面に矯正装置を接着するため、噛みにくいことや矯正装置に挟まることでストレスを感じることがあります。特に、繊維質の野菜やキノコ類は矯正装置に挟まりやすいため注意が必要です。
また、ガムやキャラメル、お餅などは、矯正装置が外れる原因となるため、矯正治療中はくっつきやすい食べ物はさけましょう。
④歯磨きしにくい
歯の表面に矯正装置を取り付けるワイヤー矯正は、表側矯正も裏側矯正も歯磨きしにくいといえます。ただでさえ歯が磨きづらいワイヤー矯正ですが、歯の裏面に矯正装置を取り付ける裏側矯正のほうがより歯が磨きにくいといえるでしょう。
磨き残しが多いと、虫歯や歯周病の原因となります。裏側矯正の場合、矯正装置のまわりや歯と歯の間などは特に時間をかけて磨き、できるだけ磨き残しがないように気をつけましょう。
日頃のセルフケアだけでなく、定期的に歯科医院でクリーニングを受けるのも効果的です。歯磨きだけでは磨けない細かい部分も、クリーニングを受けることですみずみまできれいにできるでしょう。また、歯科医院では、矯正装置のまわりや歯と歯の間など裏側矯正に合った歯磨きの仕方も指導してもらえます。矯正治療中の虫歯予防には、日頃のセルフケアにくわえ、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが効果的です。
裏側矯正にかかる値段は?
ワイヤー矯正にかかる値段は、60~180万円程度です。表側矯正の値段は60~150万円、裏側矯正は110~180万円と、表側矯正よりも1.5倍ほど値段が高いことがわかります。
ただし、裏側矯正にかかる値段は、もともとの歯並びや歯科医院によって異なります。実際の裏側矯正にかかる値段が知りたい方は、一度歯科医院を受診するとよいでしょう。
裏側矯正にかかる値段が高い理由は?
裏側矯正は、表側矯正よりも1.5倍ほど値段が高い傾向にあります。以下、裏側矯正にかかる値段が高くなる3つの理由を解説します。
①技術と専門性が必要のため
歯の裏側に矯正装置を取り付ける裏側矯正は、表側矯正に比べて見えにくいため、矯正装置を取り付けるのに技術が必要です。また、表側矯正よりもブラケット間の距離が短いことで、歯にかかる力が強くなり、ワイヤーの調整の際は高度な技術と知識が必要となります。
以上のことから、裏側矯正は高度な技術と知識を兼ね備えた歯科医師にしか治療できないため、治療にかかる値段が高くなるのです。
②1回の処置に時間がかかるため
裏側矯正は、歯の裏側に矯正装置を取り付けるため、表側矯正に比べると1回の処置に時間がかかる傾向にあります。特に、矯正装置を取り付けるときや外れた装置をつけなおすとき、ワイヤーの調整時などは、1回1回の処置に時間がかかるでしょう。
1回の処置が長くなることで、1日に診察できる患者さまの数に限りがあり、1人あたりの治療にかかる値段が高くなるのです。
③オーダーメイドで矯正装置を作る必要があるため
歯の表側は平らになっていますが、裏側はデコボコしています。表側矯正は既成の矯正装置でかまいませんが、裏側矯正の場合、歯型をとって一人ひとりの歯の形に合った矯正装置を作製しなければいけません。
裏側矯正で使用する矯正装置はオーダーメイドなので、表側矯正よりも治療にかかる値段が高くなるのです。
まとめ
裏側矯正は、歯の裏面に矯正装置を取り付けるため、口を大きく開けたときや笑ったときでも目立つことはありません。また、表側矯正よりもブラケット間の距離が短いことで、歯にかかる力が強くなり、歯を後方に引っ込めることが得意だといわれています。そのため、出っ歯や受け口の方に向いている治療といえるでしょう。
ただし、裏側矯正は、表側矯正よりも知識や技術をもった歯科医師でないと治療できません。また、裏側矯正で使用する矯正装置はオーダーメイドなので、裏側矯正は表側矯正よりも1.5倍ほど値段が高くなるのです。
裏側矯正にかかる値段については、もともとの歯並びや歯科医院によって異なります。実際の裏側矯正にかかる値段について詳しく知りたい方は、ぜひ一度当院までお気軽にご相談ください。
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