これまでの歯列矯正は、ワイヤー矯正というイメージが強かったですが、近年では「見た目が気になる」「不衛生な気がする」などの理由で、マウスピース矯正も主力になってきています。マウスピース矯正には、ワイヤー矯正にはないさまざまなメリットがあり、とても魅力的な矯正方法です。
今回は、マウスピース矯正の種類や費用、安く抑えるポイントなどもふまえて解説します。
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを自分の歯列に密着するように装着し、歯並びをきれいにしていく歯列矯正全般を指す治療法です。
マウスピースを作成する際には歯科医院・クリニックで歯型を取り、完全オーダーメイドでマウスピースを製作します。自分の歯列から、ゴールとなる理想の歯列に矯正していくために、徐々に理想の歯列に近いマウスピースに交換しながら、歯を動かしていくのです。
一日の大半をマウスピースとともに過ごし、就寝時も装着します。歯磨きと食事摂取のタイミングをのぞいて、1日20〜22時間装着するのが理想的とされています。
従来の主流であったワイヤー矯正と比較すると、各ブランドで透明マウスピースを採用しており、目立ちにくいという点や費用面が抑えられることがメリットといえるでしょう。
マウスピースの種類
マウスピースの種類は、部分矯正と歯列全体を覆う全顎矯正に分かれています。
部分矯正は、数本の歯並びの乱れに悩んでいる方や、矯正後の軽度の後戻りなどに適用されます。ピンポイントで治療したい方にオススメされる方法であり、適用される症例は限定的です。
全顎矯正は、奥歯も動かす歯列全体矯正治療を指しますが、歯が移動するスペースがない場合には、抜歯やアタッチメントの装着を併用しながら幅広い症例に対応することが可能です。全顎矯正のほうが部分矯正よりも費用が高くなります。
近年では、マウスピースのメーカーも増加しています。世界的に有名なインビザラインをはじめ、さまざまな会社がマウスピースの開発・改良に取り組んでいるのです。日本でよく出回っているマウスピースの一部をご紹介します。
①インビザライン
世界シェア率がトップクラスです。全顎矯正では、幅広いタイプの歯列に対応することができます。費用は平均的~やや高値です。
②アソアライナー
硬度の異なる3種類のマウスピース(ソフト~ハードタイプ)を使用します。軽度の歯列改善をスピーディに治療したい方に向いています。
③クリアコレクト
インプラントを製造し、インプラントのシェア率トップクラスの会社が製造しています。歯科業界では知名度のある会社でありながら、比較的リーズナブルなマウスピースです。
④スマイルトゥルー
部分矯正のみ治療できるマウスピースです。価格もリーズナブルなので、気になる歯列数本を治療したい方にオススメできます。
⑤キレイライン
治療内容によって最低価格が月々3,000円から治療できるマウスピースです。多様な支払い方法から、若い世代に人気が高いです。
⑥hanalove
通院回数を抑えることができるマウスピースです。トライアルプランがあり、マウスピースの装着をお試ししたい方にも人気があります。
⑦アットスマイル矯正
硬度が高く、歯を動かす力が強いことが特徴です。比較的重度の歯列矯正にも適用されます。
⑧アクアシステム矯正
安心・安全の日本人歯科医師が開発したマウスピースです。日本人の口腔内のポイントをおさえたブランドです。部分矯正に特化しており、短期間・低価格で治療が完了します。
⑨Beforedent
美容大国・韓国発のマウスピースブランドです。通院回数は少なくすみ、治療中は治療LINEを使用してサポートを受けることができます。
マウスピース矯正の費用
ここでは、平均的なマウスピース矯正の費用について解説します。
マウスピース矯正の費用は、部分矯正と全顎矯正で大きく異なります。部分矯正の場合は10万~40万円であることが多いです。全顎矯正では、70万~120万円かかります。
それでは、どのタイミングで何の費用がかかっているのかを、治療前・治療中・治療後にわけて解説していきます。
治療前
治療前に行うカウンセリングと診察料です。
カウンセリング料は無料〜5,000円以内で済むことが多いです。治療前の診察料としては、レントゲンやCTなどを施行し、表面的に見える歯列以外の歯の健康状況、口腔内環境などについて観察していきます。
治療前は治療の計画や基盤を定めるため、確実に検査してもらうことが大切です。費用は5万~6万円ほどです。
治療中
治療中の費用(矯正装置料)は、治療前の段階で収集した情報をもとに、それぞれの患者へ完全オーダーメイドでマウスピースを作成する費用です。最も高額な費用はこの矯正装置料で、人によって金額の幅が異なります。
また、治療中にはマウスピースを装着したあと、月に一度の通院・点検が必要です。虫歯になっていないか、歯が予定通り動いているかを診察します。装置調整料といって、毎回1万円ほどの費用がかかる場合が多いです。
治療後
治療後に何もせず放置していると「後戻り」が起きてしまうことがあります。矯正した歯が定着せず、元の歯列に戻ろうとする力が働くからです。後戻りを予防するために、保定装置を装着します。セット価格に含まれていることもあれば、別途料金が必要となることもあります。最大で5万~6万円程度の費用がかかるでしょう。
また、治療後にも定期的な診察があります。矯正した歯列にトラブルがないか、後戻りが発生していないかなどを診察してもらいましょう。1回の診察につき1万円程度の費用がかかります。再治療が必要となった場合は保証・マウスピース保険などを付帯させていれば、費用を抑えることができます。
マウスピース矯正は保険が適用される?
マウスピース矯正に限ったことではありませんが、歯列矯正は自由診療です。そのため、原則として保険が適用されることはなく、患者さまの負担は10割です。
先天性疾患や外傷性の歯列不良の一部症例で非常に厳しい条件を満たしたときに、保険が適用されることがあります。
しかし、保険が適用される場合は口腔外科手術などと併用することが多いです。審美的な理由で行うマウスピース矯正では、ほぼすべての症例で保険適用の対象にならないと考えてください。
マウスピース矯正の費用を安く抑える方法
マウスピース矯正の費用を安く抑える方法としては、マウスピースの種類を選択することと、歯科医院やクリニックを調査することが挙げられます。
マウスピースの値段は会社によって大きく異なります。リーズナブルであることをアピールポイントにしているマウスピースブランドも多くあるため、自分の予算とマウスピースの利点、歯列の状況などを照らし合わせながら、最も費用が安く済む方法を歯科医師に相談してみましょう。
また、歯科医院やクリニックで独自に行っている保証や歯列矯正保険、歯列矯正モニターなどを検討してもいいかもしれません。さらに、カウンセリングやアフターケアの無料サービスなどが充実しているところを、お住まいの近くで探してみましょう。
高額な治療を選択したけど、まとまった費用を捻出できないという方は、各銀行が取り扱っているデンタルローンなどを利用して月々の費用を抑える方法もあります。
まとめ
今回は、マウスピース矯正の費用の目安や費用を抑える工夫などについてご紹介しました。
ワイヤー矯正に比べて、比較的安価とされるマウスピース矯正ですが、歯科治療の中では高額な部類に入ります。費用面ばかり気にして、最適な治療ができないのであれば本末転倒です。しっかり情報収集をして、費用面も技術面も納得できる治療を受け、理想の歯列を手に入れましょう。
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