以前、虫歯治療した銀歯について「金属が見えるのが嫌」「結婚式があるから白くしたい」と、お悩みの方は多くいらっしゃいます。
今回は、銀歯からセラミックにするメリットだけでなく、デメリットや注意点についても解説します。セラミックの素材ごとの特徴についても言及していますので、ぜひ参考にしてください。
銀歯とは?
銀歯とは、虫歯を治療した際に使われる金属の詰め物や被せ物のことです。銀歯は保険適用のため、どこの歯科医院で治療しても同じ金額で、安い費用で治療ができます。また、銀歯の素材は金銀パラジウム合金と呼ばれる金属のため、耐久性が高く、丈夫なのがメリットです。
しかし、銀歯は丈夫なものの経年劣化しやすいため、治療当初は歯と銀歯がフィットしていても、だんだんとすき間が空いてしまい、そのすき間から虫歯や歯周病になりやすいといわれています。また、銀歯に含まれる銀イオンが口内に溶けだすことで、歯茎が黒ずむことや金属アレルギーになる可能性があるため注意が必要です。
セラミックとは?
セラミックとは、自費診療で虫歯治療した際に使われる詰め物や被せ物のことです。セラミックは白くて透明感・ツヤがある陶器素材を使用するため、詰め物や被せ物にセラミックを選ぶことで、白くて美しい歯が手に入るのが最大のメリットです。
また、セラミックは金属を使用していないものが多いため、銀歯のように歯茎が黒ずむことや金属アレルギーになる心配がほとんどありません。ほかにも、汚れを寄せ付けにくい特性があるため、ケアは必要にはなりますが、銀歯よりも虫歯や歯周病になるリスクは低いといえるでしょう。
ただし、セラミックは保険適用ではないため、治療にかかる費用が高くなりがちです。また、セラミックの種類によっては、噛む力が強いと割れてしまうリスクもあるため注意が必要です。
銀歯からセラミックにするメリット・デメリット
銀歯からセラミックにするには、メリットだけでなくデメリットもあります。それぞれを比較して治療を検討しましょう。ここでは、銀歯からセラミックにする4つのメリットと3つのデメリットを解説します。
メリット
メリットは、以下のとおりです。
①白くて美しい歯が手に入る
銀歯は、大きな口を開けるときや笑うと奥歯であっても金属がピカピカと光って見えやすいため、見た目が悪いといえます。口元の美しさは、清潔感や笑顔の美しさ、明るい雰囲気など、第一印象を左右するものです。そのため、銀歯を自分の歯のような白さ・透明感・ツヤがあるセラミックにすることで、白くて美しい歯が手に入るでしょう。
②虫歯や歯周病のリスクが低い
銀歯は、治療当初は歯とフィットしていても、経年劣化によって銀歯との間にすき間が空きやすいといわれています。また、銀歯は歯の汚れを吸着しやすい特徴があるため、虫歯や歯周病になるリスクが高いのがデメリットです。そのため、せっかく虫歯を治療しても、銀歯の下で虫歯が再発してしまうことも珍しくありません。
一方、セラミックは、銀歯よりも歯とフィットしやすく、歯の汚れを寄せ付けにくい特性があります。このことから、銀歯をセラミックにかえることは見た目の美しさだけでなく、お口の健康を守ることにつながるといえるでしょう。
③金属アレルギーの心配がない
誰もが金属アレルギーになるわけではありませんが、銀歯に金属イオンが溶け出すことで、ある日突然金属アレルギーを発症する可能性があります。金属アレルギーになると、口の中が赤くただれたり腫れたりするだけでなく、全身に影響を及ぼすことがあるかもしれません。
金属アレルギーの方や金属アレルギーが心配な方は、金属を使用していないセラミックにするのがおすすめです。
④歯茎が黒ずまない
金属を使用する銀歯には、金属アレルギーだけでなく歯茎が黒ずむ可能性があります。銀歯をつけてすぐ歯茎に影響することはないですが、時間が経つとともに、金属イオンが溶け出すことで歯茎が黒ずんでしまうのです。一度黒ずんだ歯茎は、銀歯を外してもピンク色に戻ることはありません。
ただし、セラミックも内側に金属を使用している場合もあるため、歯茎の黒ずみが心配な方は歯科医師に確認しましょう。
デメリット
デメリットは、以下のとおりです。
①歯を削る量が多くなる
銀歯からセラミックにする場合、銀歯を外すために新たに歯を削らなければいけません。また、銀歯は金属で丈夫なため、薄く作っても問題ありませんが、セラミックの耐久性を確保するためには詰め物や被せ物の厚みが必要です。
セラミックの詰め物や被せ物の厚みをもたせるということは、歯を削る量が増えるということです。歯を削ることで、しみやすくなったり痛くなったりする可能性が高くなります。歯を削ることで発生するデメリットを理解しておきましょう。
②セラミックが割れることがある
金属が使用されている銀歯は丈夫なため、割れてしまう心配はありません。
しかし、セラミックは陶器素材のため、強い力で噛んだときや衝撃を受けたときに割れてしまうことがあります。特に、もともと噛む力が強い方や食いしばりや歯ぎしり癖のある方の場合、セラミックが割れる可能性が高いので注意が必要です。このような方は、噛む力がかかりやすい奥歯など、治療する歯によってはセラミックが適応できないことがあるでしょう。
③費用がかかる
銀歯は保険診療で使用できる素材のため、治療にかかる費用を抑えられるのがメリットです。
一方、セラミックは保険適用外なので、費用が高くなりがちです。そのため、虫歯治療にかかる費用をできるだけ抑えたい方には、セラミックはおすすめできません。
歯の治療に使われるセラミックの種類
歯の治療に使われるセラミックは、以下の4種類です。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
①オールセラミック
オールセラミックとは、セラミックのみで作られた詰め物や被せ物のことです。セラミックだけで作られているため、透明感や色の再現度が高く、セラミックの中でも最も審美性が高いといわれています。そのため、オールセラミックは、人から見えやすい前歯に使用するのが適しているといわれています。
ただし、耐久性は劣るため、噛み合わせが強い方や食いしばりや歯ぎしり癖がある方は、使用する場所によっては割れてしまうことがあるので注意が必要です。
②ジルコニア
ジルコニアとは、セラミックの中で最も硬い素材です。オールセラミックと同じく、見た目が美しいだけでなく、強く噛んだときや衝撃を受けたときも割れないほどの強度をほこります。そのため、噛む力が強い方や食いしばりや歯ぎしりがある方、噛む力がかかりやすい奥歯に使用するのがおすすめです。
しかし、ジルコニアは自分の歯よりも硬さがあるため、噛み合わせによっては自分の歯がすり減ったり欠けたりするなど、傷つけてしまうリスクがあります。
③メタルボンド
メタルボンドとは、金属の上にセラミックを焼き付けた被せ物のことです。内側は金属ですが外側はセラミックを使用しているため、丈夫さと見た目の美しさを兼ね備えています。
しかし、金属を使用することで金属アレルギーの心配があり、歯茎が黒ずむことがあるのがデメリットです。
④ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックとは、セラミックと、レジンというプラスチック素材を混ぜたものです。セラミックにレジンを混ぜ合わせているため、ほかのセラミックよりも費用が抑えられるのがメリットです。
しかし、オールセラミックやジルコニアなどに比べると、耐久性や強度、見た目は劣ることを理解しておきましょう。
銀歯からセラミックにしたあとの注意点
銀歯からセラミックにしたあとの注意点を3つ解説します。
①歯がしみることや痛むことがある
銀歯をセラミックにかえる場合、虫歯になっている・なっていないに関わらず、歯を削る必要があります。また、先述したように、金属を使用しないセラミックは、詰め物や被せ物自体に厚みが必要になるため、自分の歯を削る量が銀歯よりも多くなります。このことにより、歯がしみることや痛むことがあるので注意が必要です。
歯がしみたり痛んだりという症状が、一時的なものなら問題ありません。
しかし、食事に支障をきたすことや、何もしなくてもズキズキ痛むことがあるようなら、神経をとる処置が必要になることもあります。
新たに健康な歯を削ることはリスクがあるため、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで治療を検討するようにしましょう。
②食いしばりや歯ぎしり癖がある方は対処が必要である
食いしばりや歯ぎしり癖がある方は、就寝中にナイトガード(マウスピース)で歯を守る必要があります。なぜなら、食いしばりや歯ぎしりが与える歯への負担は、日中の噛む力の3~5倍といわれているため、歯の欠けや割れ、顎関節への負担が生じやすいからです。
食いしばりや歯ぎしりのある方は、ナイトガードをしましょう。セラミックだけでなく歯全体を守ることにつながります。
③メンテナンスが必須である
せっかく銀歯からセラミックにしても、毎日の歯磨きや定期検診を怠れば、新たに虫歯になったり歯茎が下がったりなど、長持ちしないかもしれません。セラミックを長持ちさせるためには、毎日の歯磨きと定期検診によるメンテナンスが重要です。
歯の汚れをとろうとゴシゴシ磨いてしまうと、歯茎が下がったりセラミックの表面に傷がついたりしてしまいます。そのため、やさしい力で歯ブラシを握り、小刻みに1本1本丁寧に歯を磨くとよいでしょう。また、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることも大切です。
毎日の歯磨きでは落としきれない磨き残しや着色汚れを取り除けるだけでなく、虫歯や歯周病の予防にも効果があります。定期的に歯科医院に通うことでお口の健康を守ることにつながるため、何も症状がなくても3~4か月に一度は通うのがおすすめです。
まとめ
セラミックを詰め物や被せ物に選ぶ最大のメリットは、白くて美しい歯が手に入ることです。
しかし、噛む力によっては割れることもあり、歯を削る量が増えることで歯がしみたり痛みを感じたりする可能性もあります。このように、銀歯にもセラミックにもメリットがありますが、デメリットやリスクも理解して治療法を検討するようにしましょう。
セラミックにはさまざまな種類があり、お口の状態によって最適な素材は異なります。患者様に合ったセラミックの素材や治療法をご提案させていただきますので、銀歯からセラミックにかえたいと思っている方は当院までお気軽にご相談ください。
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