矯正治療の方法の一つに「裏側矯正(舌側矯正)」という矯正方法があります。
裏側矯正(舌側矯正)は、「おすすめしない」といわれることがあるため、大丈夫なのかな?と不安を感じる人もいるかもしれません。
実際のところ、裏側矯正(舌側矯正)にはメリットもデメリットもあり、歯並びやお口の中の状況、生活環境によっては「おすすめしない」場合もあります。
けれども反対に、裏側矯正(舌側矯正)の特徴を理解したうえで、希望に沿った治療方法として選んでいれば、非常に効果的で納得できる矯正方法だともいえるでしょう。
そこで今回は記事では、裏側矯正(舌側矯正)で後悔をしないために、裏側矯正(舌側矯正)の特徴や、なぜ「おすすめしない」と言われるのか、その理由について詳しく解説します。
裏側矯正(舌側矯正)とは?
裏側矯正(舌側矯正)は、ワイヤー矯正(ブラケット矯正)の一つで、歯に取り付ける「ブラケット」という装置を歯の裏側に装着する方法です。舌側矯正やリンガル矯正とも呼ばれています。
通常の表側ワイヤー矯正と同様に、歯にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯並びを矯正していきます。ただし、裏側矯正(舌側矯正)の場合、ブラケットが歯の裏側に装着されるため、笑ったり口を開けたりしても矯正装置が目立たないという特徴があります。
裏側矯正(舌側矯正)の特徴を理解した上で治療を進めることが重要です。以下では、裏側矯正(舌側矯正)のメリットとデメリットについて、さらに詳しく紹介します。
裏側矯正(舌側矯正)のメリット
裏側矯正(舌側矯正)のメリットを、3つ紹介します。
1. 装置が目立たない
裏側矯正(舌側矯正)の最大のメリットは、装置が目立たないことです。
通常のワイヤー矯正では、歯の表側にブラケットを装着するため、装置をつけていることが目立ち、気になる方も多いですが、裏側矯正(舌側矯正)では装置が歯の裏側に取り付けられるため、ほかの人と話しているときや笑顔を見せたときにも装置が目立ちません。
このため、人前に立つことが多い職業や、顔の印象を気にする方にとっては、非常に大きなメリットとなります。
2. 前歯が引っ込みやすくなる
表側矯正と裏側矯正(舌側矯正)では、力のかかり方に違いがあります。裏側矯正(舌側矯正)では、前歯を引っ込める動きが得意で、前歯が引っ込みやすい特徴があります。
もちろん、表側矯正でも前歯を引っ込めることは可能ですが、裏側矯正(舌側矯正)の場合、歯を後ろに引き込む動きがスムーズに進む傾向があります。このため、特に前歯の位置を気にしている方には、裏側矯正(舌側矯正)が非常に効果的な方法なのです。
3. 舌癖(ぜつへき)の防止
舌の癖が原因で歯並びに悪い影響を与えている場合があります。舌癖とは、前歯の裏側に舌を押し当ててしまう癖のことです。裏側矯正(舌側矯正)では、ブラケットが歯の裏側に位置するため、装置自体が舌癖を防止する役割を果たします。
舌癖がある方が矯正治療を行う場合、矯正治療がスムーズに進まないことがあるため、その点、裏側矯正(舌側矯正)は非常に実用的で効果的な方法です。
裏側矯正(舌側矯正)のデメリット
裏側矯正(舌側矯正)は多くのメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。以下では、裏側矯正(舌側矯正)のデメリットについて詳しく解説します。
1. 装置の違和感が気になる
裏側矯正(舌側矯正)は、ブラケットが舌に触れる位置に取り付けられるため、舌の動きに違和感を感じることがあります。
装置をつけた直後や慣れるまでの期間は、舌を傷つけたり、口内炎ができてしまったりすることがあるため、違和感が気になる方もいます。特に、装置をつけたばかりの期間は、口の中で違和感が強く感じることが多いため、これには注意が必要です。
2. 発音がしづらくなる
舌が触れる位置にブラケットが装着されているため、発音にも影響を与えることがあります。
特に、「サ行」「タ行」「ラ行」の発音は、舌を歯の裏側に当てて発音するため、裏側矯正(舌側矯正)中は発音しづらくなることがあります。
ただし、この発音の違和感は多くの場合、装置をつけてから1週間〜1か月程度で慣れてくることが多いでしょう。そのため、装置をつけている間は一時的に発音に問題が生じることを理解しておく必要があります。
3. 食事がしづらいことがある
裏側矯正(舌側矯正)や表側矯正を行っている場合、装置に食べ物が絡みついたり、噛みにくくなったりすることがあります。
特に、裏側矯正(舌側矯正)では、舌側に食べ物が残りやすくなるため、食事がしづらく感じることもあるでしょう。食事中に装置に食べ物が絡まることもあるため、食事をする際には注意が必要です。
4. 歯磨きが難しい
裏側矯正(舌側矯正)では、ブラケットが歯の裏側に取り付けられるため、歯磨きが難しくなります。
通常のワイヤー矯正でも装置周りをきれいに磨くのが難しいですが、裏側矯正(舌側矯正)の場合、さらに歯磨きが困難になります。そのため、時間をかけて丁寧に歯磨きを行う必要があり、虫歯や歯周病の予防には特に気をつけることが重要です。
5. 費用が高くなる
裏側矯正(舌側矯正)は、表側矯正と比べて費用が高くなることが一般的です。歯の裏側はでこぼこしており、複雑な形状をしているため、既製品のブラケットを使用することができません。
そのため、オーダーメイドのブラケットを作成する必要があり、特別な技術と時間がかかるため、費用が高額になります。表側矯正よりもおよそ1.5倍程度の費用がかかることが多いでしょう。
6. 矯正に高い技術と時間が必要
裏側矯正(舌側矯正)は、歯の裏側に装置の取り付けをすることから、表側矯正と比べて設置や調整が複雑です。そのため、高い技術と時間が必要となります。裏側矯正(舌側矯正)を行うには、経験豊富な矯正歯科医による治療が欠かせません。
つまり、裏側矯正(舌側矯正)を提供している歯科医院では、十分な技術と設備を備えた専門性の高い矯正治療のエキスパートが治療を行っているということになるのです。
裏側矯正(舌側矯正)と表側矯正の違い
裏側矯正(舌側矯正)と表側矯正は、どちらもワイヤー矯正ですが、ブラケットを取り付ける位置が異なります。表側矯正の方が歴史が長くて症例数も多く一般的ですが、裏側矯正(舌側矯正)は「目立ちにくい」「周りに気づかれにくい」という利点から、近年注目を浴びるようになっています。
以下では、裏側矯正(舌側矯正)と表側矯正の違いについて紹介します。
矯正方法の違い
裏側矯正(舌側矯正)と表側矯正は、矯正装置を取り付ける位置が異なるため、治療の手順も異なります。
表側矯正では、歯の形に合わせたブラケットを一つずつ調整しながら装着しますが、裏側矯正(舌側矯正)の場合は歯の裏側にブラケットを取り付けるため、複雑な形状に合わせた装置をオーダーメイドで作成します。
また、装置を取り付ける位置も複雑なため、治療前に歯の型取りを行い、取り付ける位置を慎重に確認しながら装着します。
費用の違い
裏側矯正(舌側矯正)は、表側矯正よりも費用が高くなることが一般的です。歯の裏側は複雑な形状をしており、既製品のブラケットを使用することができません。
そのため、患者さま一人ひとりに合わせてオーダーメイドでブラケットを作成する必要があります。
この過程で技工料が別途かかるため、裏側矯正(舌側矯正)は表側矯正の約1.5倍の費用がかかることがあります。また、裏側矯正(舌側矯正)にかかる技術や調整の時間も、費用が高くなる要因の一つです。
矯正期間の違い
裏側矯正(舌側矯正)と表側矯正は、矯正治療にかかる期間に大きな差はありません。
ただし、歯並びの状態や治療内容によって、矯正期間に多少の違いが出ることがあります。どちらの方法も得意な歯並びがあるため、個々の症例に応じて矯正期間が決まります。矯正期間が気になる方は、治療開始前に歯科医師と相談し、どれくらいの期間が必要かを確認しておくと安心です。
「裏側矯正(舌側矯正)はおすすめしない」といわれる理由
裏側矯正(舌側矯正)は装置が目立たないという大きなメリットがありますが、裏側矯正(舌側矯正)を「おすすめしない」と言われる理由は、主にそのデメリットにあります。
以下に、裏側矯正(舌側矯正)を選択する際に注意すべき点を紹介します。
1. 違和感を感じやすい
裏側矯正(舌側矯正)の最大のデメリットは、装置が舌に触れるため、舌の動きが制限されることや、発音がしづらくなることです。
特に、装置をつけた直後や慣れるまでの期間は、舌を傷つけたり、口内炎ができてしまうことがあります。これらの違和感は、装置を装着してから1週間〜1か月程度で慣れてくることが多いですが、最初は少なからず不便を感じることがあります。
2. 費用が高額
裏側矯正(舌側矯正)は、表側矯正と比べて費用が高くなる傾向にあります。装置をオーダーメイドで作成するため、技工料が別途かかります。また、治療の調整や装置の取り付けに高い技術が必要なため、裏側矯正(舌側矯正)の費用は表側矯正の約1.5倍になることが一般的です。そのため、「できるだけ費用を抑えて歯列矯正を受けたい」と考える方には、裏側矯正(舌側矯正)は不向きな場合があります。
裏側矯正(舌側矯正)を選択したことを後悔しないためには
裏側矯正(舌側矯正)を選択して後悔しないためには、事前に裏側矯正(舌側矯正)のメリットとデメリットをしっかりと理解しておくことが重要です。
「装置が目立たない」「周りに気づかれにくい」というメリットは大きいですが、発音のしづらさや費用の高さなど、デメリットも考慮する必要があります。治療開始前に歯科医師と十分に相談し、自分の希望に合った方法を選択することが大切です。
また、矯正装置が目立つことのみが気になる場合は、表側矯正でもワイヤーや
ブラケットを目立ちにくい透明や白色のものにする方法があります。
これから紹介させていただきますが、ほかにも目立たない矯正治療の方法を選択することもできますので、選択肢 を広げて検討してみましょう。
裏側矯正(舌側矯正)以外に目立たない歯列矯正の治療法はある?
裏側矯正(舌側矯正)以外にも、目立たない矯正方法として「マウスピース型矯正」があります。マウスピース型矯正は、インビザラインを使用した矯正が広く知られており、透明のマウスピースを装着して歯並びを整える方法です。透明なマウスピースは、装着していても目立たず、矯正中であっても他の人に気づかれにくいという特徴があります。
マウスピース型矯正の最大のメリットは、取り外しが可能である点です。食事の際や歯磨きの際に取り外すことができ、清潔を保ちやすいです。また、透明のため、見た目が気になる方にとっては大きなメリットとなります。
ただし、マウスピース型矯正が全ての症例に適しているわけではありません。症例によっては、マウスピース型矯正では対応できない場合もありますので、治療前に歯科医師によく相談し、自分の歯並びに適した矯正方法を選ぶことが重要です。
マウスピース型矯正の仕組み
まず、歯の形や歯並びなどのデータを取り込みます。そのデータを分析して、患者さま自身のお口に合わせて約40〜50枚の透明なマウスピースが作られます。
これらのマウスピースは、それぞれ少しずつ位置がズレており、決められた順番通りに一定の期間ごとに交換することで、歯を動かしていきます。マウスピースは取り外しが可能ですが、インビザラインの場合は1日20〜22時間の装着を想定して作られているため、食事の時と歯磨きの時以外は装着したままです。
適応しにくい症例もあるため、マウスピース型矯正を希望する場合には歯科医師によく相談することをおすすめします。
まとめ|裏側矯正は目立たない歯列矯正!注意点を理解して選択を
裏側矯正(舌側矯正)はワイヤー矯正の方法の一つで、装置が目立たないという大きなメリットがありますが、違和感や発音の問題、費用の高さなどのデメリットも存在します。
裏側矯正(舌側矯正)を選ぶ前に、そのメリットとデメリットをしっかり理解し、十分に相談をしてから治療を始めることが大切です。
自分に最適な矯正方法を選ぶために、歯科医師とよく相談しましょう。裏側矯正(舌側矯正)以外にも、目立たない矯正方法としてマウスピース型矯正や、表側矯正で目立ちにくいブラケットを使用する方法もあります。さまざまな選択肢を検討して、自分に合った治療方法を見つけてると良いでしょう。
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