歯の被せ物をするときに、どの素材を選ぶか悩む方は多いです。「そもそもオールセラミックとは?」「オールセラミックとほかの素材の違いは?」「オールセラミックは何年もつの?」などの疑問を持つ方もいるでしょう。
今回は、オールセラミックの特徴やメリット、費用、ほかの素材との違いについて解説します。被せ物の素材のことで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
オールセラミックとは?
オールセラミックとは、セラミックという素材だけを使用して作った歯の被せ物です。
オールセラミックは、色合いや形などの自由度が高いことが特徴です。オールセラミックで作られた被せ物は、色調と質感が特に優れていて、透明感があります。
審美性が非常に高く、天然歯と見分けがつかないことも少なくありません。天然歯より美しく仕上がることもあるので、天然歯の上にオールセラミックを被せ、審美性を向上させる方もいます。
また、金属が使われていないので、金属アレルギーのある方でも安心して使用できます。
しかし、陶器で作られているので、割れる可能性があるでしょう。硬いものを食べる、強い衝撃を受けるなどすると、破損することがあります。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、使用できないかもしれません。
オールセラミックの寿命
オールセラミックの平均寿命は、7〜10年です。ほかのセラミック素材に比べると、平均寿命は劣ります。
しかし、オールセラミックは、経年劣化がほとんど起きません。表面が滑らかで汚れが付着しにくいので、治療したときと変わらない状態で使用を続けられるのです。
オールセラミックとほかのセラミックの違い
セラミック素材を使った被せ物は、オールセラミックのほかにもあります。「どの素材が自分に向いているだろう」と考える方もいるでしょう。
オールセラミックとほかのセラミックの違いを考慮し、ご自身に適した素材を選択してください。
オールセラミックとほかの3つのセラミックとの違いを確認しましょう。
ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックは、レジン(プラスチック素材)と、セラミックを混ぜ合わせた素材です。オールセラミックやほかのセラミックに比べると審美性が劣りますが、保険が適用されるので比較的安価に治療できます。
平均寿命は7〜8年程度でしょう。ハイブリッドセラミックの適応範囲は限られていますが、保険適用で治療したい方には向いています。
e-max
e-maxは、ニケイ酸リチウムガラスを主成分としたオールセラミックの一種です。審美性が高く、透明感のある仕上がりになるので、前歯の使用に向いています。
強度も高いので、症例によっては奥歯にも使用できるでしょう。平均寿命は、10〜15年程度です。
メタルボンド
メタルボンドとは、金属にセラミックを焼き付けて作る被せ物です。耐久性が高く、硬いものを噛みやすいことが特徴でしょう。
審美性も低くありませんが、e-maxやオールセラミックに比べると劣ります。金属を使用しているため、時間の経過とともに金属イオンが溶け出し、歯茎が着色する可能性があるでしょう。血液中に流れ込み、金属アレルギーを発症するリスクもあります。
また、治療時に金属アレルギーのある方は使用できません。
メタルボンドの平均寿命は、8年程度です。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックとは、内側にジルコニアという素材を使い、外側にセラミックを使用した被せ物です。ジルコニアとは人工ダイヤモンドともいわれる非常に硬い素材です。
内側にジルコニアを使用することで、オールセラミックの割れやすいデメリットを補っています。審美性が非常に高いですが、歯の再現性としては、オールセラミックのほうが優れています。
ジルコニアセラミックの平均寿命は、10〜15年程度です。
オールセラミックのメリット・デメリット
素材を決定する前に、オールセラミックのメリットとデメリットを考慮することは大切です。メリットはもちろん、デメリットもしっかり理解しましょう。
オールセラミックのメリット
オールセラミックのメリットは、以下のとおりです。
- 審美性が高い
- 汚れがつきにくい
- 変色しにくい
- 金属アレルギーの心配がない
- 虫歯になりにくい
オールセラミックの最も大きなメリットは、審美性の高さです。ほかのセラミック素材に比べると、歯の再現性に非常に優れています。
また、変色しにくいので、日常的にケアをするときれいな状態を長期間保てるでしょう。歯と歯茎の間に段差やすき間ができにくいので、虫歯になりにくいこともメリットといえます。
オールセラミックのデメリット
オールセラミックのデメリットは、以下のとおりです。
- 強い衝撃が加わると割れる可能性がある
- 保険適用外なので高額な費用がかかる
- ほかのセラミック素材に比べると平均寿命が劣る
オールセラミックは、100%陶器でできているため、強い衝撃が加わると割れるリスクがあります。例えば、硬いものを噛むと割れるかもしれません。スポーツの際に人と衝突して口元が当たる、ボールが顔に当たるなどしても割れる可能性があります。
健康保険が適用されないので、高額な費用を払う必要もあるでしょう。丈夫で耐久性が高いほかのセラミック素材と比べると、平均寿命は劣ります。
オールセラミックがおすすめの人
オールセラミックがおすすめの人は、以下のとおりです。
- 前歯をきれいにしたい人
- 審美性にこだわりたい人
- 虫歯になりたくない人
- 今の歯の色が気になっている人
審美性に優れているので、最も目立つ場所である、前歯の被せ物に向いています。「自信をもって笑いたい」「被せ物だと周囲に知られたくない」という人でも、満足のいく仕上がりになるでしょう。天然歯の色や形が気になっている人は、天然歯を削ってオールセラミックを被せる治療もあります。
一方で、割れやすいため奥歯の被せ物には向いていません。噛む力が強い人や、力仕事をしていて食いしばることが多い人は、割れるリスクが伴います。
丈夫さや耐久性を重視したい人は、別のセラミック素材のほうが向いているでしょう。
オールセラミックの費用
オールセラミックの費用は、100,000〜200,000円です。
ただし、保険が適用されないため、費用は歯科医院によって異なります。オールセラミックを入れる場所によっても費用は変動するでしょう。
詳しい費用は、歯科医師に確認してください。保証が設けられていることもあるので、期間や条件などを確認し、納得したうえで治療を決定することが大切です。
まとめ
オールセラミックは、陶器を100%使用して作成する被せ物です。金属アレルギーの心配がありません。
天然歯と見分けがつかないほど審美性に優れているため、前歯の被せ物に向いています。「被せ物をしたところだけ不自然に目立つのは避けたい」「時間が経っても天然歯と同じ状態をキープしたい」など、見た目を重視する方には適しているでしょう。
一方で、ほかのセラミック素材の被せ物に比べて、割れやすいというデメリットがあります。噛む力が強い人や、食いしばる傾向のある人がオールセラミックを選ぶと割れるリスクが高いでしょう。
オールセラミックは保険が適用されないため、費用が高額になります。実際の費用は歯科医院によって異なるので、確認するとよいでしょう。
歯科医師と相談しながら、ご自身に合う治療を選択してください。
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