歯ブラシの圧力が強すぎるとどうなるの?

〜ブラッシング圧とは?〜

ブラッシング圧とは、歯ブラシを使うときに歯や歯茎にかかる力のことです。
多くの人が「力を入れて磨けば汚れがしっかり取れる」と考えがちですが、実際にはそうとは限りません。適切なブラッシング圧を超えると、かえって口腔環境を悪化させる可能性があるのです。

一般的には100gから150g程度が適切と言われています。
これは「歯ブラシの毛先がわずかに広がる程度の力」であり、歯ブラシを軽く持ち、歯と歯茎に優しく触れるくらいの感覚です。

実際にどれくらいの力か試したい場合は、歯ブラシを使ってキッチンスケールで圧力を測ると、感覚がつかみやすくなります。

〜ブラッシング圧が強すぎると起こる問題〜

歯磨きは毎日行う習慣だからこそ、間違った方法が続くと長期間にわたるダメージをもたらす可能性があります。特にブラッシング圧が強すぎる場合、以下のような問題が発生します。

1. 歯肉の退縮(歯茎が下がる)

過度な圧力で磨き続けると、歯茎がダメージを受けて下がってしまいます。これを歯肉退縮と言います。歯茎が下がることで、歯の根が露出し、知覚過敏の原因となります。また、一度下がった歯茎は自然に元に戻ることはありません。

2. 歯の表面(エナメル質)の摩耗

歯のエナメル質は、歯の表面を覆う硬い層で、歯を保護しています。ブラッシング圧が強すぎると、エナメル質が削られやすくなり、歯が弱くなるだけでなく、見た目の変色や知覚過敏の原因にもなります。

3. 歯ブラシの寿命が短くなる

力を入れすぎて磨くと、歯ブラシの毛先がすぐに開いてしまいます。これにより、歯ブラシ本来の汚れを除去する効果が低下します。頻繁に歯ブラシを交換する手間やコストもかかります。

4. 歯周病や歯肉炎の悪化

歯周病や歯肉炎を予防するために丁寧な歯磨きが推奨されますが、過度なブラッシング圧は逆効果です。歯茎が傷つき、炎症を悪化させる可能性があります。

〜適切なブラッシングを行うためのコツ

1. 歯ブラシの持ち方を工夫する

力が入りすぎないように、歯ブラシを「鉛筆持ち」にするのがおすすめです。柄を軽くつまむことで、力加減を自然に調節できます。

2. 適切な歯ブラシを選ぶ

硬めの毛の歯ブラシは汚れを落としやすいと感じる方もいますが、硬すぎる毛は歯茎やエナメル質を傷つけやすいので、やわらかめやふつうの毛先を選びましょう。毛先の形状はコンパクトなものを選ぶと、細かい部分も磨きやすくなります。

3. 力がかかりすぎない電動歯ブラシを活用

電動歯ブラシの中には、強い力で押し付けると自動的に止まったり、振動が弱くなったりする機能を持つ製品があります。これを活用することで、適切な圧力で磨く習慣が身につきます。

4. 歯科医院で歯磨き指導を受ける

歯科医院では、歯磨きの方法や力加減について具体的なアドバイスを受けることができます。定期的にプロの意見を聞くことで、自分のブラッシングの見直しが可能です。

〜ブラッシング圧を意識することで得られるメリット〜

適切なブラッシング圧で磨くことで、以下のようなメリットが得られます。

・歯と歯茎を健康に保つことができる

・知覚過敏のリスクを低減できる

・歯ブラシの寿命が延びる

・歯の表面の汚れを効率的に除去できる

また、長期的に見ても歯や歯茎へのダメージが減ることで、歯科治療にかかる時間や費用を抑えられるという利点もあります

〜ブラッシング圧に関するよくある質問〜

Q1. 力を入れないと汚れが落ちないのでは?

力を入れなくても、毛先が歯の表面に適切に触れていれば汚れは十分に除去できます。むしろ、強く磨くことで汚れが残りやすくなることもあります。

Q2. 子どもにもブラッシング圧を意識させるべき?

はい。子どもは力加減が分からず、力を入れすぎることがあります。親御さんが優しく磨き方を教えたり、必要に応じて歯科医院で指導を受けさせると良いでしょう。

Q3. 力を入れたほうが爽快感がある気がするけど?

爽快感と汚れの除去効果は必ずしも比例しません。適切なブラッシング方法で清潔感を得ることができます。

〜適切なブラッシング圧の練習方法〜

実際に毎日の歯磨きで適切なブラッシング圧を保つための練習方法をいくつかご紹介します。これを試すことで、力の加減をコントロールする感覚を身に付けることができます。

1. 歯磨きの圧を可視化する方法

歯磨き中にブラシの毛先が広がっていないか確認してください。毛先がしっかり立っている状態で磨けていれば、適切な圧力がかかっています。歯ブラシの毛先が広がりすぎる場合、力を入れすぎている可能性が高いです。

2. キッチンスケールを使った練習

歯ブラシを持ってキッチンスケールに押し当て、100〜150gの圧力を測定します。これを数回繰り返すことで、どれくらいの力をかけるべきかの感覚をつかむことができます。特に、力加減に自信がない方におすすめの方法です。

3. 鉛筆持ちで軽く磨く練習

歯ブラシを鉛筆のように持ち、軽く握ることで自然と力が入りにくくなります。この方法で歯を磨く練習をすることで、力加減を意識しやすくなります。

4. 鏡を使って確認する

歯磨きをする際に鏡を見ながら行うと、力を入れすぎていないか、毛先が正しく当たっているかをチェックできます。丁寧に磨く意識が高まり、適切なブラッシング圧を維持する助けになります。

〜力の入りやすい部位に注意〜

歯磨きでは、特定の部位に力が入りやすくなる傾向があります。特に気をつけるべきエリアをご紹介します。

1. 奥歯の外側

奥歯の外側は磨きにくい部位であるため、無意識に力が入りやすくなります。注意しないと歯茎が傷つき、歯肉退縮の原因になることがあります。

2. 前歯の裏側

前歯の裏側も毛先が当てにくく、力を入れがちなエリアです。小さなヘッドの歯ブラシや歯間ブラシを使用すると、力を抑えつつ効果的に磨けます。

3. 歯と歯茎の境目

歯と歯茎の境目はプラークが溜まりやすいため、意識的に磨く方が多いですが、強い力をかけすぎると逆効果です。毛先を優しく当てるよう意識しましょう。

〜痛みや違和感を感じたら早めの受診を〜

歯茎に痛みや違和感を覚えた場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。過度なブラッシング圧が原因で歯肉が傷ついている可能性があります。放置すると歯周病や知覚過敏の原因となるため、専門家のアドバイスを受けることが大切です。

歯科医院では、ブラッシング圧の改善だけでなく、歯茎のケアや適切な歯ブラシの選び方も指導してもらえます。自己判断で無理に磨き続けることは避け、専門家のサポートを受けましょう。

〜知っておきたい歯ブラシの寿命〜

ブラッシング圧が強いと歯ブラシの毛先がすぐに広がり、寿命が短くなってしまいます。一般的には1ヶ月〜2ヶ月ごとに歯ブラシを交換するのが理想ですが、強く磨きすぎている場合、1ヶ月未満で毛先が開いてしまうこともあります。

毛先が広がると、歯に均一に当たらず、汚れが残りやすくなるため、効率が低下します。定期的に歯ブラシを交換することで、適切なブラッシング圧の感覚を維持しやすくなります。

〜まとめ〜

ブラッシング圧は、毎日の歯磨き習慣を健康的に行うための重要なポイントです。力を入れすぎることで、知らず知らずのうちに歯や歯茎にダメージを与えてしまう可能性があります。

歯磨きは「強く」ではなく「優しく」が基本です。正しいブラッシング圧で磨くことが、長期的なお口の健康を守る第一歩となります。ぜひ、今日からブラッシング圧を意識し、適切な歯磨き習慣を身につけましょう!

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