「歯磨きをしていたら歯茎から血が出た」「口をゆすいだら水が赤く染まっていた」
そんな経験をしたことはありませんか?歯茎の出血は、単なる一時的なトラブルと見過ごされがちですが、実はお口や体全体の健康状態に関わる大切なサインであることもあります。
この記事では、歯茎から出血する原因とその背景、特に注意が必要な「歯周病」との関係について、歯科医師の視点からわかりやすく解説します。
また、日常生活で注意すべき点や、歯科医院への受診の目安なども紹介しますので、「自分は大丈夫かな?」と気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. 歯茎の出血と主な原因
- 1-1. 歯周病
- 1-2. 強すぎるブラッシング
- 1-3. 血液や全身の病気
- 1-4. 薬の影響
- 1-5. ホルモンバランスの変化
2. 歯茎の出血と歯周病の関係
- 2-1. 歯周病とは
- 2-2. 歯周病の進行と症状
3. 歯茎の出血、受診の目安
4. よくある質問(Q&A)
5. まとめ
1. 歯茎の出血と主な原因
1-1. 歯周病
歯茎からの出血で最も多い原因が歯周病です。歯と歯茎の境目に溜まった細菌(プラーク)が毒素を出し、歯茎に炎症を起こすことで出血します。初期段階の歯肉炎では、歯磨きのときに出血する程度ですが、進行すると自然に出血することもあります。
日本人成人の約80%が歯周病にかかっているというデータもあり、非常に身近な病気です。そのため、痛みがないからと安心せず、出血という小さなサインを見逃さないことが大切です。
1-2. 強すぎるブラッシング
歯をきれいに保ちたい一心で、力を込めてゴシゴシ磨いてしまっていませんか?しかし、実はその「頑張りすぎた歯磨き」が、歯茎にダメージを与え、出血の原因になることがあります。
歯ブラシを強く当てすぎると、歯茎の表面が擦り切れて傷つき、炎症や出血を引き起こします。特に硬い毛の歯ブラシを使っている場合や、ブラッシング圧が強いと、知らず知らずのうちに歯茎を傷めてしまうことも。
歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、力を抜いて優しく小刻みに動かすのが理想的です。また、歯茎に負担をかけない、やわらかめの歯ブラシを選ぶのもポイントです。
1-3. 血液や全身の病気
歯茎の出血は、口の中だけでなく、体全体の病気のサインとして現れることもあります。
たとえば、次のような疾患では、血液の異常や免疫力の低下が影響して、歯茎が出血しやすくなることがあります。
- 白血病や血友病などの血液疾患
- 糖尿病(歯周病との相関性が高い)
- ビタミンC不足(壊血病)
これらの病気では、歯茎の出血以外にも「体がだるい」「出血が止まりにくい」「食欲がない」「体重が減った」といった全身の症状を伴うことがあります。
こうした症状がある場合は、歯科だけでなく内科の診察も視野に入れることが大切です。
1-4. 薬の影響
日常的に服用しているお薬が、歯茎の出血に関係しているケースもあります。
とくに、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬など)は、出血しやすい状態をつくるため、歯茎からの出血が目立つようになることがあります。
さらに、抗うつ薬や降圧薬なども、唾液の分泌が減ったり、歯茎に炎症を起こしやすくなったりする副作用があることが報告されています。
歯科医院を受診する際は、服用している薬を正確に伝えることが重要です。
1-5. ホルモンバランスの変化
女性はホルモンバランスの変化によって、歯茎が敏感になる時期があります。
この影響で、普段は出血しないような小さな刺激でも歯茎から出血しやすくなることがあります。
特に注意が必要なのは次の時期です。
- 思春期
- 妊娠中
- 更年期
特に妊娠中は、エストロゲンなどのホルモンが増加することで歯茎が腫れやすくなり、歯肉炎を起こしやすくなります。
この「妊娠性歯肉炎」は、適切なケアで予防・改善することが可能です。しかし、放置してしまうと母体や胎児に影響を与えることもあるため注意が必要です。
2. 歯茎の出血と歯周病の関係
2-1. 歯周病とは
歯周病は、歯を支える組織が少しずつ破壊されていく、慢性的な炎症性の病気です。原因は、歯と歯茎の間にたまった細菌のかたまり(プラーク)で、これが歯周ポケットと呼ばれる隙間を深くし、炎症を悪化させます。
初期症状としては、歯茎からの出血や腫れなどが見られますが、痛みがほとんどないため気づきにくく、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。実際、歯周病は日本人が歯を失う原因の第1位とされており、見過ごされがちな国民病とも言われています。
そのため、痛みがなくても出血などのサインを見逃さず、早めの対処が重要です。
2-2. 歯周病の進行と症状
歯周病は、進行度に応じていくつかの段階に分類されます。手遅れになる前に、早期発見・早期治療することが大切です。
病期 | 症状と影響 |
---|---|
歯肉炎 | 歯茎が赤く腫れ、ブラッシング時に出血する。まだ骨の破壊は起きていない。 |
軽度歯周炎 | 歯周ポケットが深くなり、歯茎が少しずつ下がる。軽度の出血や口臭も見られる。 |
中度歯周炎 | 歯を支える骨が溶けはじめ、歯がぐらつく。歯茎の腫れや強い口臭、しみる感じが出ることも。 |
重度歯周炎 | 骨が大きく失われ、歯が抜けるリスクが高まる。日常的な痛みや、自然出血が起きることもある。 |
3. 歯茎の出血、受診の目安
出血があるからといって必ずしも深刻であるとは限りません。ただし、次のような状況がある場合は早めの受診をおすすめします。
【受診のサイン】
- 歯茎の出血が1週間以上続く
- 歯磨きのたびに必ず出血する
- 歯茎が腫れている、または白っぽく変色している
- 朝起きたときに口臭が気になる
- 歯が浮いたような感じがする
歯科医院では、出血の原因を見極めたうえで、クリーニングや歯周病治療など適切な処置を行います。
4. よくある質問(Q&A)
Q1:歯磨きで出血した場合、磨き続けていいですか?
A:出血していても、やさしく丁寧に磨き続けることが大切です。出血の原因が歯周病である場合、プラーク(細菌のかたまり)をしっかり取り除くことが改善への第一歩です。ただし、強く磨きすぎると歯茎を傷つける恐れがあるため、柔らかめの歯ブラシでやさしく磨きましょう。数日たっても出血が続く場合は、歯科受診をおすすめします。
Q2:子供の歯茎から出血していますが、子供でも歯周病になりますか?
子供でも歯周病になることがあります。特に乳歯から永久歯に生え変わる時期は歯茎が敏感になり、出血しやすくなることがあります。また、思春期のホルモン変化で歯肉炎が起こることもあります。子供の場合も、正しい歯磨き習慣を身につけることが大切です。
5. まとめ
健康な歯茎は、本来出血することはありません。歯茎からの出血は、お口の中だけでなく、体からの小さなSOSサインかもしれません。「たかが出血」と見過ごさず、適切なケアと早めの歯科受診が大切です。特に歯周病は進行すると歯を失う原因にもなり得るため、注意が必要です。お口の健康は全身の健康にも深く関わっています。
テラスモール松戸プランス歯科では、患者様一人ひとりの健康を一生涯サポートする「かかりつけ医」として、お口全体のケアに取り組んでいます。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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