
毎日きちんと歯を磨いているつもりでも、歯の表面にザラつきや固まりができることがあります。それは「歯石」と呼ばれるもので、一度ついてしまうと自分では取れません。
実は歯垢と歯石は全く異なるもので、それぞれ対処法も変わってきます。間違った方法で取り除こうとすると、歯や歯茎を傷つけてしまう可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、歯垢と歯石の違いから正しいケア方法、そして放置することのリスクまで詳しく解説します。毎日のケアに役立てていただけますと幸いです。
目次
- 歯垢と歯石の基本的な違い
- 歯石は自分で取れる?
- 歯垢や歯石を放置するとどうなる?
- 歯垢除去・歯石予防のセルフケア
- 歯科医院でのケア
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
1. 歯垢と歯石の基本的な違い

1-2. 歯垢とは
歯垢(しこう)は、歯の表面に付着する柔らかい白色または黄白色のネバネバした物質で、「プラーク」とも呼ばれます。これは食べ物のカスではなく、細菌の塊=バイオフィルムです。
実際、たった1mgの歯垢の中には約10億個もの細菌が含まれており、虫歯や歯周病、口臭の原因にもなります。
歯垢は、毎日のブラッシングである程度取り除くことができますが、丁寧に磨かないと歯と歯の間や奥歯の周辺など、磨き残しやすい箇所に溜まりやすくなります。
この歯垢をそのまま放置すると、やがて歯石へと変化します。
1-2. 歯石とは
歯石は、歯垢が長時間放置されたことで、唾液に含まれるミネラル(カルシウムやリン)と結びついて硬くなったものです。色は黄白色から茶色で、歯の根元や歯の裏側などに形成されやすいです。
歯垢が2〜3日程度落とされずに残ると、歯石へと変化します。
なお、一度歯石になると、普通の歯ブラシでは取り除くことができません。また、表面がザラザラしているため、その部分に歯垢がつきやすくなるという悪循環も招きます。
2. 歯石は自分で取れる?

「歯石が気になるから、自分で取ってみよう」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
実際、ネットやドラッグストアでは「歯石取り専用」と書かれた器具を見かけることもあります。
ただ、こうした器具を使ってご自身で歯石をきれいに取り除くのは、思っている以上に難しいものです。
歯石はとても硬く、歯ブラシでは取りきれません。さらに、自己流で尖った器具を使ってしまうと、以下のような思わぬトラブルを招くことがあります。
・歯や歯茎の損傷:歯石は歯にしっかりとくっついているため、無理に取ろうとすると、エナメル質を傷つけてしまうリスクがあります。また、器具が歯茎に当たり、出血や炎症を引き起こすことも。
・感染症:不適切な器具の使用や、清潔でない環境での処置は、細菌感染を引き起こすリスクがあります。
・不完全な除去による悪化:見える部分の歯垢だけ取っても、歯茎の中に隠れている歯垢は残ってしまいます。これによりかえって細菌が繁殖する環境を作ってしまう場合があります。
3. 歯垢や歯石を放置するとどうなる?

歯垢や歯石は放置するとどんどん溜まっていき、お口の健康に影響を与えることがあります。
3-1. 虫歯や歯周病のリスク
歯垢や歯石に含まれる細菌は、虫歯や歯周病の主な原因です。歯垢に含まれる細菌が糖を分解して酸を作り出し、それが歯のエナメル質を溶かすことで虫歯が進行します。
また、歯石の中には歯周病菌が多く含まれており、これが歯茎に炎症を起こし、出血や腫れを引き起こします。やがて歯を支える骨が溶けてしまうと、歯がグラグラして抜けてしまうこともあるのです。
初期の歯周病(歯肉炎)は自覚症状がほとんどなく、進行するまで気づきにくいため注意が必要です。
3-2. 口臭や見た目への影響
歯垢や歯石が増えると、口臭の原因にもなります。これは、細菌が代謝を行う過程で、揮発性硫黄化合物(VSC)と呼ばれる臭い成分を発生させるためです。
さらに、歯石は見た目にも影響を与えます。歯の根元に黄色や茶色の塊が見えると、不衛生な印象を与えてしまうこともあります。
4. 歯垢除去・歯石予防のセルフケア

歯垢や歯石をためないためには、毎日のセルフケアがとても大切です。ここでは、ご自宅でできる歯垢除去と歯石予防の方法をご紹介します。
4-1. 正しい歯磨きの方法
歯垢は毎日のブラッシングで落とすことができます。しかし、正しい磨き方をしなければ、磨き残しが発生してしまいます。次のポイントを意識しましょう。
・歯ブラシは小刻みに動かす(「ゴシゴシ」ではなく「コシコシ」)
・歯と歯茎の境目に45度の角度で当てる
・磨きにくい奥歯は特に意識して
・1回の歯磨きは2~3分以上を目安に
・歯ブラシは1ヶ月に1回を目安に交換
4-2. デンタルフロス・歯間ブラシの活用
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の歯垢を完全には落とせません。そのため、デンタルフロスや歯間ブラシの併用が大事です。特に歯周病のリスクが高まる40代以降の方や、歯と歯の間にすき間がある方には歯間ブラシがおすすめです。「毎晩寝る前にフロスを使う」など、習慣化していきましょう。
5. 歯科医院でのケア

セルフケアだけでは届かない部分のケアや、すでに歯石がついてしまった場合には、歯科医院でのケアが必要です。
5-1. スケーリング(歯石除去)
スケーリングとは、超音波や手用のスケーラーと呼ばれる器具を使って、歯の表面の歯石を除去する処置です。ただし、歯石が歯と歯茎の間にまで溜まっている場合、ルートプレーニングというより深い部分の処置が必要になることがあります。
5-2. 定期検診
歯石は一度除去しても、唾液の影響で再びついてしまいます。そのため、3〜6ヶ月に1回の定期検診を受けることで、歯の健康を継続的にチェックできます。また、虫歯や歯周病の早期発見にもつながります。
「症状が出てから行く」のではなく、「何もない時に予防のために行く」ことで、お口の健康を守ることができます。
6. よくある質問(Q&A)

Q1:歯石がついているかどうか、自分で確認できますか?
A:歯の根元がザラザラしていたり、歯の裏側に固い塊を感じる場合、歯石の可能性があります。歯の裏側などは鏡を使って確認することができます。
Q2:子どもにも歯石はつきますか?
A:はい。特に磨き残しが多いお子さんや、口呼吸が多いお子様は歯石ができやすい傾向にあります。
7. まとめ
歯垢と歯石は似ているようで全く異なり、対処法も大きく変わります。歯垢は毎日のブラッシングやフロスで落とせますが、歯石は一度つくと自分では除去できず、歯科医院での専門的な処置が必要です。放置すれば虫歯や歯周病、口臭の悪化につながり、お口の健康だけでなく全身のリスクにも及ぶ可能性があります。だからこそ「歯垢をためないセルフケア」と「定期的な歯科でのクリーニング」の両立が欠かせません。正しい知識と習慣を身につけて、大切な歯を守りましょう。
テラスモール松戸プランス歯科は、患者様1人ひとりのお口の状態から最善の治療方法をご提案し、歯の健康を守るサポートをいたします。忙しいビジネスマンの方、小さなお子様やお母様、持病をお持ちのご年配の方など、さまざまな世代、多様なライフスタイルでお過ごしの方々に合わせた診療体制を整えております。歯石の除去や定期検診はもちろん、予防から治療までトータルで対応いたしますので、「歯を長く健康に保ちたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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