「麻酔の注射が痛そうで怖い」「麻酔が効きすぎたらどうしよう」「副作用が心配」このような不安から、歯科治療をためらっている方は少なくありません。
しかし実は、現代の歯科麻酔は技術が大きく進歩しています。そのため、痛みを最小限に抑える工夫がたくさんあります。また、副作用もほとんどの場合、一時的で軽微なものです。
なぜなら、歯科麻酔は痛みのない快適な治療を受けるために欠かせないものだからです。そこで、麻酔についての正しい知識を持つことで、不安を和らげることができます。その結果、適切な治療を受ける第一歩となります。
そこで今回は、松戸市テラスモール松戸プランス歯科での診療経験をもとに、歯科麻酔の種類から効果時間、副作用、痛みを軽減する方法まで、分かりやすく解説いたします。
目次
- 歯科麻酔の基礎知識
- 歯科麻酔の種類と特徴
- 麻酔の効果時間
- 麻酔の副作用と注意点
- 痛みを軽減する工夫
- よくある質問
- まとめ
歯科麻酔の基礎知識

1-1. 歯科麻酔の目的
まず、歯科麻酔の主な目的は痛みを取り除くことです。これにより、患者様は快適に治療を受けられます。同時に、歯科医師も落ち着いて丁寧な治療ができます。
1-2. 麻酔が必要な治療
以下のような治療では、一般的に麻酔が使用されます:
虫歯治療 神経に近い虫歯や、削る範囲が大きい場合に使用します。
抜歯 親知らずの抜歯や、通常の抜歯に必要です。
歯周病治療 深い歯周ポケットの清掃時に使用することがあります。
根管治療 歯の神経の治療には麻酔が必須です。
1-3.麻酔の安全性
実は、歯科麻酔は適切に使用すれば非常に安全です。実際に、世界中で毎日何百万人もの患者様に使用されています。その結果、重篤な副作用が起こることは極めて稀です。
2. 歯科麻酔の種類と特徴

2-1 表面麻酔
特徴 まず、表面麻酔はゲルやスプレー状の麻酔薬です。これを歯茎の表面に塗布します。特に、注射の前に使用することで、針を刺す時の痛みを軽減します。
使用場面
- 注射麻酔の前処置
- 軽度の歯茎の処置
- 型取りの際の嘔吐反射の軽減
効果時間 塗布後、約1〜2分で効果が現れます。効果は約15〜20分持続します。
2-2 浸潤麻酔(局所麻酔)
特徴 これは、最も一般的に使用される麻酔です。具体的には、細い注射針を使って歯茎に麻酔薬を注入します。その結果、治療する歯とその周辺の感覚を麻痺させます。
使用場面
- 虫歯治療
- 抜歯
- 根管治療
- 歯周病治療
効果範囲 注射した部位の周辺、1〜3本程度の歯に効果があります。
2-3 伝達麻酔
特徴 一方、これは神経の根元近くに麻酔薬を注入します。そのため、広い範囲に麻酔効果を得られます。主に、下顎の奥歯の治療や親知らずの抜歯に使用します。
効果範囲 下顎全体の半分程度が麻痺します。舌や唇の感覚もなくなります。
持続時間 浸潤麻酔よりも長く、3〜6時間程度効果が持続します。
2-4 笑気吸入鎮静法
特徴 これは、笑気ガス(亜酸化窒素)を鼻から吸入する方法です。その結果、意識は保ちながらリラックスした状態になります。同時に、痛みの感じ方が鈍くなります。
適している方
- 歯科治療に強い不安がある方
- 嘔吐反射が強い方
- お子様の治療
メリット 意識があるため、会話ができます。治療後、短時間で回復します。車の運転も可能です。
2-5 静脈内鎮静法
特徴 これは、腕の静脈から鎮静剤を投与する方法です。その結果、うとうとした状態で治療を受けられます。そのため、痛みや不安をほとんど感じません。
適している方
- 歯科恐怖症の方
- 親知らずの難しい抜歯
- インプラント手術
- 長時間の治療
注意点 治療後は休憩が必要です。当日の車の運転はできません。付き添いの方と一緒に来院することが推奨されます。
3. 麻酔の効果時間

3-1 効果が現れるまでの時間
表面麻酔 塗布後、約1〜2分で効果が現れます。
浸潤麻酔 注射後、約3〜5分で効果が現れます。治療を始める前に、しっかり効いているか確認します。
伝達麻酔 注射後、約5〜10分で効果が現れます。浸潤麻酔よりもやや時間がかかります。
3-2 効果の持続時間
浸潤麻酔 一般的に1〜3時間程度です。使用する麻酔薬の種類により異なります。血管収縮剤入りの麻酔では、より長く効果が持続します。
伝達麻酔 約3〜6時間程度です。範囲が広い分、効果も長く持続します。
笑気吸入鎮静法 吸入を止めると、約5分程度で効果が消えます。
静脈内鎮静法 約30分〜2時間程度で回復します。完全に覚醒するまでは個人差があります。
3-3 麻酔が切れた後の注意
重要なことに、麻酔が効いている間は以下の点に注意が必要です:
飲食 まず、誤って唇や頬を噛む可能性があります。そのため、麻酔が完全に切れるまで飲食は控えることが推奨されます。
熱いものに注意 また、感覚が鈍っているためやけどに気づきにくくなります。
子供の場合 特に、注意が必要です。なぜなら、唇や頬を噛んでしまうことがあるからです。そのため、保護者の方は十分に見守ってください。
4.麻酔の副作用と注意点

4-1 一般的な副作用
しびれの持続 最も一般的な副作用です。通常、数時間で自然に治まります。
軽い腫れ 注射部位に軽い腫れが出ることがあります。通常、1〜2日で改善します。
内出血 注射部位に青あざができることがあります。通常、1週間程度で消えます。
軽い痛み 麻酔が切れた後、注射部位に軽い痛みを感じることがあります。市販の痛み止めで対応できます。
4-2 稀な副作用
アレルギー反応 非常に稀ですが、麻酔薬に対するアレルギー反応が起こることがあります。
血圧の変化 麻酔薬に含まれる血管収縮剤により、一時的に血圧が上昇することがあります。高血圧の方は事前に申告してください。
過換気症候群 極度の緊張により、呼吸が速くなることがあります。深呼吸を促すことで改善します。
4-3 麻酔を受けられない場合
以下の場合は、麻酔の使用に注意が必要です:
妊娠中の方 妊娠初期は特に注意が必要です。ただし、妊娠中期であれば、多くの場合、通常の麻酔が可能です。
重度の心疾患がある方 血管収縮剤の使用に制限がある場合があります。事前に歯科医師に申告してください。
アレルギーがある方 過去に麻酔でアレルギー反応が出た方は、必ず申告してください。
5.痛みを軽減する工夫

5-1 表面麻酔の使用
まず、注射の前に表面麻酔を使用します。これにより、針を刺す時の痛みを大幅に軽減できます。
5-2 極細針の使用
現代の歯科医院では、極めて細い注射針を使用します。髪の毛ほどの細さです。針が細いほど、痛みは少なくなります。
5-3 麻酔液の温度調整
麻酔液を体温程度に温めて使用します。冷たい液体を注入すると痛みを感じやすくなります。温度調整により、不快感を軽減できます。
5-4 ゆっくりとした注入
麻酔液を急激に注入すると、圧力により痛みを感じます。ゆっくりと一定の速度で注入することで、痛みを最小限に抑えます。
5-5 電動注射器の使用
一定の速度でゆっくりと麻酔液を注入できます。手動よりも痛みが少ないとされています。
5-6 リラックスできる環境
緊張すると痛みを感じやすくなります。以下のような工夫があります:
声かけ 治療の各段階で、丁寧に説明します。何をするか分かることで、不安が軽減します。
深呼吸 麻酔の注射前に、深呼吸をすることが推奨されます。リラックス効果があります。
音楽や映像 一部の歯科医院では、音楽を聴いたり、天井のモニターで映像を見たりできます。気を紛らわせる効果があります。
6. よくある質問

Q1: 麻酔の注射は痛いですか?
A: 現代の歯科治療では、痛みを最小限に抑える工夫がされています。
痛みを軽減する方法 まず、表面麻酔を使用します。極細針を使います。麻酔液を体温に温めます。ゆっくりと注入します。
これらの工夫により、多くの場合、チクッとする程度の軽い痛みで済みます。「思ったより痛くなかった」という感想をいただくことが多いです。
Q2: 麻酔が効きにくい人はいますか?
A: はい、麻酔が効きにくい場合があります。
効きにくい理由
- 炎症が強い部位
- 下顎の奥歯(骨が厚い)
- 緊張や不安が強い
- 体質的な要因
対処法 効きが悪い場合は、追加で麻酔を行います。伝達麻酔に切り替えることもあります。遠慮なく申告してください。
Q3: 麻酔後に運転できますか?
A: 麻酔の種類により異なります。
浸潤麻酔・伝達麻酔 局所麻酔のみであれば、運転は可能です。ただし、口の周りの感覚が戻ってからが安全です。
笑気吸入鎮静法 吸入を止めて約30分休憩すれば、運転可能です。
静脈内鎮静法 当日の運転は禁止です。公共交通機関を利用するか、付き添いの方に運転してもらってください。
Q4: 麻酔をしても痛みを感じることはありますか?
A:適切に麻酔が効いていれば、痛みはほとんど感じません。
痛みを感じる場合
- 麻酔が十分に効いていない
- 炎症が強い部位
- 神経が敏感になっている
対処法 治療中に痛みを感じたら、すぐに手を挙げて知らせてください。追加の麻酔を行います。我慢する必要はありません。
Q5: 麻酔後の食事はいつからできますか?
A: 麻酔が完全に切れてから食事をすることが推奨されます。
目安の時間
- 浸潤麻酔:約2〜3時間後
- 伝達麻酔:約4〜6時間後
理由 感覚がない状態で食事をすると、誤って唇や頬を噛む可能性があります。熱いものでやけどする危険もあります。
麻酔が効いている間の飲み物 水やぬるめの飲み物であれば、ストローを使って飲むことができます。
7. まとめ
歯科麻酔への不安は、多くの患者様が抱える共通の悩みです。しかし、正しい知識を持つことで、不安を和らげることができます。
歯科麻酔の重要ポイント
現代の麻酔は安全 まず、適切に使用すれば、歯科麻酔は非常に安全です。重篤な副作用は極めて稀です。
痛みを最小限に 次に、現代の技術により、麻酔の痛みは最小限に抑えられています。表面麻酔、極細針、温度調整など、様々な工夫があります。
効果時間を理解 そして、麻酔の効果時間を理解することで、治療後の生活にも対応できます。
コミュニケーションが大切 最後に、不安や疑問があれば、遠慮なく歯科医師に相談してください。一人ひとりの状況に応じた対応が可能です。
安心して治療を受けるために
事前に伝える 持病やアレルギー、服用中の薬があれば、必ず事前に申告してください。妊娠の可能性がある場合も同様です。
リラックスを心がける 深呼吸をする、好きな音楽を聴くなど、自分なりのリラックス方法を見つけましょう。
無理をしない 治療中に痛みや不快感を感じたら、すぐに知らせてください。我慢する必要はありません。
歯科麻酔は、痛みのない快適な治療を受けるための強い味方です。適切な麻酔により、歯科医師は丁寧で確実な治療ができます。患者様は安心して治療を受けられます。
松戸市テラスモール松戸プランス歯科では、患者様一人ひとりの不安に寄り添った治療を心がけています。麻酔についても、丁寧に説明し、痛みを最小限に抑える工夫をしています。
歯科治療への不安がある方、麻酔について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。スタッフ一同、皆様が安心して治療を受けられるよう、全力でサポートいたします。
皆様のご来院を、心よりお待ちしております。
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